white rabbit | 天井を走る照明音響デバイス

 天井に設置されたレールを走り、個々人を照らしたり、BGMをかけたりするロボットデバイス”white rabbit”が、Penguins Innovate社からCES2019へ出展される。

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使用者を追跡して照明を調整するロボット

 CES2019にて、Penguins Innovate社はとても個性的な家庭用ロボットを発表する。この“white rabbit”の見た目は、長いコードに突き刺さった白い球体である。空気で膨らむ柔らかなボディと4つのくりりとしたカメラは、その名の通り白うさぎのような可愛らしい印象を与える。しかし、単純な形のわりにこのロボットは驚くような機能を備えており、従来の室内灯の常識を打ち砕く。

 このロボットは、室内の人間の動きを感知して天井に貼られたコードの上を動き回り、使用者の状態ごとに最適な位置から最適な色・照度の光を与えるのである。生活空間ごとに固定された従来の室内灯と異なり、このロボットがあれば移動のたびに灯りのスイッチを操作する必要がなくなるのである。

次世代的デザイン

 “white rabbit”の空気で膨らむボディは、数年前にヒットしたディズニー映画『ベイマックス』に登場する看護ロボットのベイマックスを彷彿させる。映画内では、ベイマックスが人間と優しく触れ合えるようにと空気で膨らむボディが採用されているが、”white rabbit”も同じような理念で設計されている。人間と活動する空間を毎日共有するロボットだから、一般的なロボットに対して抱かれがちな固くて冷たいイメージを払拭して受け入れやすいデザインとなっているのだ。もちろん、ロボットが障害物にぶつかったときに衝撃を和らげる目的もある。

 他にも、軽量化・小型化のために採用された素材・技術はいずれも最新鋭のものが多い。機械が好きなものにとっては見ているだけで高揚するような、そんな構造となっている。

環境の精密な解析能力、学習機能を備えたA.I.

 “white rabbit”は使用者の動きを映像と赤外線情報で的確に捉えるだけでなく、時間帯ごとの明るさ変化などによる環境の変化も解析して適切な照明を実現する。さらに、声やロボットに向けたジェスチャーによってリモコンやスイッチを用いることなく照明の色や明るさの変更を指示できる。

 このようにして環境や使用者の指示からロボットが集めたデータは蓄積され、その学習に役立てられる。ロボットは使用者の日々のルーティンを学習し、使用者が照明に気を使うことなく作業に没頭できるよう最適化されてゆく。これはまさしく人工知能、A.I.であると言えるだろう。照明にもA.I.を取り入れることで、生活はずいぶんと便利になるのだ。

”white rabbit”が描く未来

 “white rabbit”はハードウェアとソフトウェアの両側から技術の粋を極めた製品である。計算を行うコンピューターとその結果を現実世界に反映させるアクチュエーターを組み合わせることは、今のIT業界のトレンドと言えるだろう。中でも人間の日常生活の中での使用を目的にした”white rabbit”のような家庭用ロボットは、私たちの未来を身近なところから明るくしてくれる。

 もちろん家庭で使うことには弊害も多い。精密に調整された環境で活動できる工業用ロボットと違い、障害物も多いし、環境はめまぐるしく変化する。それに対応すべく、別の角度から技術が生まれ、ロボットはまた私たちの生活に受け入れられる。”white rabbit”は、それ自身も私たちの生活を支えながら、次世代の家庭用ロボットの先駆者として産業界を引っ張ってゆくのではないだろうか。

 このようにCESでは毎年、最新のスマートデバイスなど、多数のプロダクトが4000以上の参加企業から出展されており、全てを追いかけるのはなかなか難しい。
 そこで、例年のCESの動向や投資に関する情報、最新の技術などを知りたい方々には、弊社発行の「CES 脳科学企業レポート」をおすすめしたい。
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